スコール、スコール

「色っぽい じれったい」は傑出したナンバーだと思う。
曲全体のリズムを推進するのはベースライン。そこへカスタネットが音符の細かいリズムを刻み、ハンドクラップが要所の裏拍に入ってきてリズムのエッジを立てる。
ちょっと雑味のある音色でサックス&トランペットがフレーズの受け渡しを行う。アコーディオンの合いの手、アコースティックギターの弦の揺らめく音、コーラスの遠目の音像が音楽の匂いを付ける。それも、全体に暗い赤の照明のバー、そこで踊る人が糸状になるくらいブレた写真のようなラテンのフレーバーを付けていく。
ヴォーカルでもAメロ部分の断片的な事物を並べるところで二人の声を重ね(しかも、これまでの曲にあまり見られなかった組み合わせで耳に飛び込む響きを新しくして)脳裏に浮かぶ記憶の断片を表現し、サビフレーズの終わり、歌い上げるべくして歌い上げる箇所にはきっちりソロで情感を込められる声を配置する。
ギター、アコースティックギターアコーディオンのソロが移り行く間奏あけはソロをつないで歌うサビフレーズ。比較的声に特徴のあるメンバーを抜き出したこのフレーズの直後のサビもう一回は個々の声が立体的に絡み合い盛り上がって聴こえるマジック。
いやあ、これはまいった。本来目立たせるべき久住さんの見せ所が少ない難点もあるけれど、これだけ効果的に響くならそれも致し方なしかもしれない。すごい! いいよこの曲!

…て、このくらい褒めないといくら酔っ払っていたからとはいえ、おんなじCD二枚も買っちゃった言い訳ができません。さて、握手会は誰のに行こうかな。